研究概要 |
本研究では,ヘテロ・エピタキシー成長などの幾つかの原子種が絡む固体表面界面形成初期の表面界面構造解析手法として優れた威力を発揮すると思われる高分解能X線光電子回折法の実験装置の開発とそれを用いた典型的なヘテロ・エピタキシー成長表面界面の構造解析を行い,その有効性を検証し、もってその手法の確立を目的とする.本年度は以下の5項目について研究を行った. 1)昨年度,高エネルギー加速器研究機構,物質構造研究所放射光実験施設で行った実験結果(Si(001)表面上のSb吸着界面のSi2p内殻高分解能光電子回折パターン)の解析を行った.結果を「表面・界面に関する国際シンポジウム,処,名古屋」において発表し,同時に論文投稿を行った.論文はSurface Science誌に印刷中である. 2)他のヘテロ・エピタキシー成長表面界面としてSi(001)上の有機分子(エチレン)吸着表面を選定し,これについて東北大学科学計測研究所における予備実験を行い,その作成条件等の最適化を行った.また,実験室光源のAl,Mg Kα線を励起源とするX線光電子回折パターン測定のテストを行った. 3)高分解能X線光電子回折測定装置を高エネルギー加速器研究機構物質構造研究所放射光施設へ搬入及び同施設のアンジュレーター・ビームラインからの軟X線を励起源として,Si(001)上の有機分子(エチレン)吸着表面について高分解能X線光電子回折実験を行った. 4)高分解能X線光電子回折測定装置を東北大学科学計測研究所へ持ち帰り,測定した高分解能X線光電子回折パターンの解析を行った. 5)同上結果を日本表面科学会東北支部講演会において発表した.また,同結果についての論文を学術雑誌に投稿準備中である.
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