研究課題/領域番号 |
10305006
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹田 精治 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70163409)
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研究分担者 |
河野 日出夫 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00273574)
大野 裕 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80243129)
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キーワード | シリコン / 表面 / ナノ構造 / 電子線照射 / 点欠陥 |
研究概要 |
本年度は、シリコン表面ナノホールの走査トンネル顕微鏡による観察を行った。また透過電子顕微鏡法によってリコン表面ナノホールの成長条件などを系統的に調べた。特に電子エネルギー、電子線強度、真空度、照射温度による依存性を明らかにした。以上の実験データおよび計算機シミュレーションからナノホールの形成メカニズムが以下のように解明された。 薄膜のシリコンに高エネルギーの電子線を照射すると、電子線出射面上のシリコン原子がはじき出され、その後に表面空格子点ができる。電子線照射下では、表面空格子点は極低温においても拡散して、より形成エネルギーの低いクラスターを形成する。ナノホールの配列は表面における空格子点の拡散に加えて、表面原子と表面空格子点の2元系における一種のスピノーダル分解として説明された。 表面における空格子点のクラスターの配列が決定されると、次に、表面に対して垂直方向へ深くなっていく(穴掘り現象)が、これは電子線照射下では、空格子点は照射電子の進行方向とは逆向きに拡散するためである。 表面ナノホールの直径および間隔は照射温度によって制御することが可能であることもわかったが、これらを独立に制御することは困難であった。電子エネルギーあるいは電子線強度は表面ナノホールの直径および間隔にはほとんど影響を与えず、また表面ナノホールの深さは単純に電子線量に比例した。この結果は本研究で解明された表面ナノホールの形成メカニズムから自然に理解できる。
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