研究概要 |
(1) 薄膜材料の機械的特性評価のため開発したオンチップ引張試験で,単結晶シリコンの3方位について準静的な引張試験を実施しヤング率を求めた.厚さ14〜21μm,幅80μm,長さ400μmの単結晶シリコンのヤング率の平均値は,〈100〉〈110〉〈111〉方向でそれぞれ120,157,180GPa.であった.これとは独立して実施した厚さ400μmの単結晶シリコンの3点曲げ試験の結果は,それぞれの方位に対して131,170,181GPa,であった.両者を比較した結果その差は数%であり,オンチップ引張試験における応力,ひずみの測定精度が検証できた. (2) シリコン化合物についてオンチップ引張試験を実施するため,シリコン酸化膜,窒化膜についてそれぞれの試験チップを作成する加工プロセスを研究した.前者は,一旦シリコン単結晶試験片を製作した後,これを熱酸化する方法,後者は,予め表面に形成した窒化膜を試験片形状にエッチングした後,試験片を保護しながら他の機構部分を製作する方法をとった.1回のRIEと2回の結晶異方性エッチングからなる加工プロセスを開発し,いずれの試験片も作成できる見通しが得られた. (3) これまでの準静的な試験に加え,動的試験,疲労試験などの様々な負荷形態を実現する試験システムを設計し製作した.最小荷重分解能は0.1grf,試験可能周波数は0.001〜50Hz,負荷速度は1μm/時間〜500mm/秒であり,オンチップ引張試験に適用した場合,最大ひずみ速度200/秒が得られる.
|