研究課題/領域番号 |
10305009
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
菊池 順 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 教授 (50063665)
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研究分担者 |
山本 幹男 放射線医学研究所, 室長 (80166826)
鈴木 聡 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 助教授 (30318828)
道家 忠義 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 名誉教授 (60063369)
岡田 宏之 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 助手 (20308258)
森 俊則 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教授 (90220011)
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キーワード | 液体Xe放射線検出器 / PET / 液体希ガス放射線検出器 / ガンマー線検出器 / 低温用PMT |
研究概要 |
液体Xeは、原子番号54、密度約3.0g/cm^3の透明な液体である。ガンマー線用のシンチレータとしては、ほぼNaI(T1)並みの発光効率を持ちしかも発光の減衰時間はそれよりも遥かに速く、2 nsecと22 nsecの2つの成分からなっている事が知られている。液体Xeの温度が約-110℃であることや、その発光が真空紫外光であるため、取り扱いが困難であるが、反射光を使用せず、直接光を複数の光電子増倍管(PMT)で検出することによって,高エネルギー分解能が得られると推定される。また複数のPMTからの出力を比較することでガンマー線の発光位置を推定することも出来る。シミュレーションの結果によれば0.5MeVのガンマー線でも、条件によっては、その進行及び垂直両方向に対し数mm程度の位置分解能が得られることが分かった。そこで、我々は、液体Xeを検出媒体としたPETの可能性を考え、その基礎実験として一対の検出器を試作しPET開発に必要な実験データーを得ることとした。これまでに、液体Xeの温度と圧力で稼動し、真空紫外光用の窓を持つPMTを開発試作した。それを用いてPMTとしての基礎的なテストを行ったところほぼ期待通りの性能が得られることが判明した。このPMTを複数個並べて、発光ダイオード・ガンマー線およびアルファ-線を用いてエネルギー分解能・検出位置精度などの測定を行い、その結果をシミュレーションと比較したところ良い結果が得られた。そこでさらに、このPMTを用いて、時間分解能のテストを行い2本のPMTでは約40ps、20本のPMTでも〜100ps程度の時間分解能が得られることが判明した。これはこれまでのPETでは達成されていない値であり、同時計測の性能を一段と良くすると期待される。また複数のPMTからの出力を比較することにより、〜2mm(σ)の位置分解能が得られることもわかった。シミュレーションの結果に基いてl"と2"のPMTを効果的に配置したPETの試作品を製作した。
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