研究概要 |
本研究は,走査型プローブ顕微鏡と電流測定ユニットを一体化し,サブミクロンサイズの欠陥が検出できる電位分布測定装置を開発することを最終目標とし,研究初年度である昨年度は,走査型プローブ顕微鏡および電流測定ユニットを購入し,電位分布測定装置のセットアップと機器の調整を行った. 本年度は,昨年度に引き続いて測定装置の調整を行うとともに,電流量分布から欠陥の大きさと位置を推定するための電位場解析を行った.その結果,実際に電流測定ユニットから得られる電流測定値は,カンチレバーの材質や形状,使用(摩耗)量,スキャン速度,カンチレバーと試料間のバイアス電圧,試料表面の清浄度により大きく影響を受け,それらのすべてを制御することは容易ではないこと,欠陥による電位場の乱れがこれらの影響因子以上に大きい場合には欠陥の検知が可能であることが明らかとなった.また,電位場解析からは,カンチレバーと試料の接触状態が測定電流量に大きく影響することが明らかになったが,それを定量化するまでには至っていない. 本研究課題は,来年度も継続予定であるので,来年度は,電流測定値に大きく影響を及ぼす因子の除去あるいは縮小化を試みるとともに,電位場解析により影響因子に関する定量的検討を行う予定である.
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