研究概要 |
(1) NMMのダイナミクス 波動歯車減速機を用いた回転位置決め機構を対象に,次のことを行った. (a) 実験と数値解析により,回転位置決め機構の動特性を調べた.その結果この機構が,10秒オーダの動作領域において,波動歯車の弾性変形に起因する非線形ばね特性を示し,動作領域の大小で異なる動特性を有することを明らかにした. (b) この機構に対し外乱オブザーバを利用した1種類のコントローラを設計し,その有効性を実験と数値解析により検証した.そして40〜400,000秒の広い範囲に渡って,センサ分解能に等しい1秒の精度で位置決めできることを示した. (2) 冗長メカニズムの制御 冗長メカニズムの1部である大ストローク位置決め機構に最適な制御方法を明らかにするために,ファジィ制御,ニューロ制御を適用し,制御性能を調べた.具体的には,同一の設計仕様に基づき両コントローラを設計し,設計仕様の達成度や位置決め時間,位置決め精度,摩擦トルク変化や質量変化,定常負荷外乱の影響を実験と数値解析により評価した.そして既に得られている他の制御方法の結果を含めて比較検討した.その結果,ファジィ制御が最も良い性能を示すことが分かった.また冗長メカニズム全体としての性能評価を現在進めている. (3) 超精密非接触電磁アクチュエータ ホール素子を内蔵した電磁アクチュエータにより対象の非接触支持とのその位置推定が可能な,1自由度制御型の磁気浮上機構を試作し,位置決め分解能100nm,駆動範囲0.3mmを実現した.また,並行して,永久磁石・電磁石を併用した直動案内用非接触アクチュエータを提案し,その電気的・機械的特性の解明のため,数値解析を行った.
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