研究概要 |
本研究では、環境制御型の奈のトライボメータを設計製作し、この実験装置を用いて膜厚さが数ナノメートルの液体潤滑膜のトライボロジー特性とレオロジー特性とを明らかにし、従来から提唱されている潤滑理論の限界を明らかにするとともに、その実験結果を用いて新たなモデルを提案し、その妥当性をも検証することを目的としている。また、本研究のように液体と個体分子間の液体構造力、個体の表面力、液体の個体への吸着力等を考慮しながら液体超薄膜のトライボロジー特性とレオロジー特性を明確にすることは,界面現象科学の進展にとって学術的に大いに意義があると考える.ここでは,液体超薄膜のトライボロジー特性とレオロジー特性を独立で考えるのではなく、個体物性と関連させて検討する。このことは、超微小潤滑システムの設計への応用のために重要である。本年度は、新たに製作した環境制御型ナノトライボメータを用いて、相対湿度、環境温度、圧力等を制御し、しゅう動面にLB膜を成膜し、ピン-オン-ディスク型で実験を行った。試験で用いた液体は、脂肪酸、アルコール、水、高分子である。本実験における測定項目はピンの振動、摩擦力の変動、環境温度、相対湿度、メニスカス力等で、これらをパーソナルコンピュータを用いて自動的に計測を行った。液体超薄膜潤滑のモデル化については、実験結果をもとに液体超薄膜のトライボロジー特性やレオロジー特性を的確に予測可能なモデルを検討中である。今後のモデル化については、液体の種類、個体の種類、個体と液体との相性等によってトライボロジー特性やレオロジー特性が変化するものと考えられることから、これらを考慮したモデルを構築する予定である。
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