研究概要 |
21世紀のテクノロジーの中でナノテクノロジーは重要なキーワードの一つになると予測されるが、微小な機械要素のしゅう動部に形成されるメニスカス架橋(ナノメニスカス架橋)の特性を把握することはナノテクノロジーにおいては重要な課題である。従来の液体薄膜の研究は、表面力測定装置(Surface Forces Apparatus,SFA)や原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope,AFM)の開発とともに飛躍的に発展してきたが、これらによって液体ナノメニスカス架橋が存在する液体薄膜の動的特性を明らかにすることは非常に困難である。例えば、表面力測定装置の場合には、一般的に、非常に大きな接触面積を持つ雲母を固体試料として使用しているが、この場合メニスカス力の寄与(edge effect)は流体力に比べて無視できる。原子間力顕微鏡の場合には、表面間の距離の絶対値やチップの形状も正確には分からないのが現状で、このために、メニスカス架橋の動的特性を定量的に明らかにすることは非常に困難である。そこで、本研究では、1)二面間の距離をナノメートルオーダーで正確に決定できる実験装置を設計製作し、2)微小な接触面積と単純な形状の固体試料を用いて液体メニスカス架橋が存在する液体薄膜システムの動的特性を明らかにし,そのモデルを構築することを目的として実施した。それら液体ナノメニスカス架橋の動的特性を明らかにするために新しく製作・製作したナノレオメーターを用いて実験を行い,その結果、小さい半径の両ガラス球間に形成される高分子液体メニスカス架橋システムはバルクの高分子液体とは全く異なるレオロジー特性を示した。これは液体メニスカス架橋の弾性とダンピングにより起因するものであり、システムの幾何学的因子(D/R率)と振動周波数に強く依存することが分かった。また,薄膜モデルを構築し,その妥当性を検討し,有効であることを確認した.
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