研究概要 |
1.空気膜混成形トライパッドコンタクトスライダの設計条件の解明 空気膜混成形トライパッドスライダの2自由度モデルを用いた解析により,完全接触追従条件を明らかにした.その結果,うねりの標準偏差が約1nmのディスク面に対しスライダを完全接触追従させる場合,スライダ接触面の面圧が数MPa程度になり,よって現状のスライダ・ディスク材の耐摩耗性能(許容面圧数kPa)では実現は不可能であること,またうねりの標準偏差を0.1nmとしてもなお2桁の耐摩耗性向上が必要であることを明らかにした.そこで,解析範囲を間欠接触のニアコンタクト領域に広げ,スライダ挙動に及ぼす各設計パラメータの影響を調べ,以下のことを明らかにした. (1)後側空気膜剛性の小さいスライダはコンタクト領域では優れた追従性をもっていたが,ニアコンタクト領域では追従性能がない.ニアコンタクト領域では前後空気膜剛性比を1.0以上にする必要がある. (2)ヘッドギャップ位置を後側空気膜作用中心点に一致させることによりディスク面うねりの追従性に及ぼす幾何学的な影響を無くすことができる. 2.空気膜潤滑混成1点接触形コンタクトスライダの実験的研究 実スライダの接触挙動を実験的に明らかにするため,気圧依存性の高いスライダを用いて実験を行った.(波形の計測・記録に「デジタルフォスファオシロスコープ」を使用)その結果,0.5気圧程度以下に減圧すると後端パッドがディスク面と接触するようになり,振動の周波数特性に幾つかのピークが生じ,さらに減圧していくとそれらのピークが低周波側にシフトする傾向にあることが明らかとなった. 3.空気膜混成形トライパッドスライダの3自由度モデルによる解析 ロール方向の振動も考慮に入れた3自由度解析シミュレータを開発し,スライダ挙動を解析した結果,左右空気膜剛性比を最悪値0.8としても追従性に及ぼす影響は2自由度の結果と同じであることがわがった.
|