研究概要 |
821813 低ガス圧力で高密度プラズマの生成が可能な誘導結合放電を用いて,プラズマ中に生成されるラジカルが,どのようにして被加工物であるウエハまで拡散,輸送されまたウエハ表面でどのようなエッチング反応を起こしてエッチングが進行するのかを明らかにするのが本研究の目的である. 本研究を進めるにあたり,研究グループを実験班と理論班の2班から構成し,平成10年度はそれぞれ以下の取り組みを行った.実験班は主要設備である誘導結合プラズマ装置を設計し,外注によって製作した.引き続いてプラズマ装置の試運転,調整を現在行っている.次に計測システムの構築であるが,これには現有のラングミュアプローブの高速トラバース装置とデータ解析装置を用いる.さらにシステムは四重極質量分析器,マイクロ波干渉計,表面粗さ計等から構成される.これにより電子密度,電子温度,イオン密度等が計測される.次年度以降の実験班の主な役割は試験データの採取である.一方,理論班は新たに開発された電磁場の高速解法を用いて,クーロン衝突の電子エネルギー分布関数(EEDF)に与える影響を調べ,ICP装置のコイル電流が小さい場合影響が大きいこと,コイル電流が小さいとEEDFはクーロン衝突によるマクスウエル分布に近づくことを明らかにした.次にラジカルのプラズマ装置内における拡散と輸送について調べた.その結果原料ガスの流量が増加するとエッチレートは大きくなり,かつ一様性も改善されることを明らかにした.次年度以降,最終的にはエッチング速度分布を広範囲な実験条件に対し計測し,シミュレーション結果との比較からウエハ表面反応を説明できる表面反応モデルを推測する.
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