研究概要 |
本研究は今年度が最終年度になる.過去2年間の成果に加えて,本年度はさらに以下の成果を挙げた.本研究は理論班(南部・米村・塩沢)と実験班(佐々木・高橋)の2グループで進められた.始めに理論班の成果について列挙する. 1.低気圧反応器内の物理・化学現象の解析を可能にするため,確率論的方法に基づく粒子衝突の取り扱いを入れた粒子シミュレーション法を開発した. 2.上記の粒子シミュレーション法を用いて,塩素プラズマ中のシリコンのエッチング特性を調べ,各種プラズマパラメータ及びラジカル生成速度の外部因子依存性を明らかにした. 3.中性ガス,ラジカル等の反応器内の流れを解析しそのエッチング特性への影響を調べ,エッチレート分布を求めた.この結果は反応確率0.1の時に実験と良い一致を示した.すなわちエッチング速度の予測法を確立した. 次ぎに実験班の成果について述べる.実験はプラズマ源を連続波およびパルス変調した場合について行い,塩素プラズマ中のシリコンエッチング特性を明らかにした. 1.連続波プラズマの実験 基盤バイアス電力を連続波で与えて増加させるとエッチレートはそれに伴い増加した.またガス圧力を増加した場合もエッチレートは増加する.さらにガス圧力が低い場合(0.5Pa)はRFソース電力を増加するとエッチレートは逆に低下する.基盤バイアス電力をパルスで与えた場合デューティ比(ontime/period)の小さいほうがエッチレートは低く,40%以下でエッチングは起こらないことを発見した. 2.パルス変調プラズマの実験 エッチレートはパルスのデューティ比に依存し,この比が小さいほどエッチレートは上がるが約33%でエッチレートは飽和することを発見した. エッチレートとエッチング時間の関係は連続波,パルス波共に線形関係にある.以上が今年度の成果である.
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