| 研究概要 |
ターボ機械の内部流れ場に生じる三次元剥離形態として,圧縮機の不安定現象と密接に関係した軸流圧縮機動翼列のパートスパン形旋回失速セルにおける三次元剥離に着目し,周期的多点抽出法および二重位相固定法を併用して旋回速度の異なる動翼と失速セルの両方に位相を固定した計算機支援流れ計測・データ解析法を駆使することにより,ならびに動翼全周にわたる非定常三次元数値解析を実施することにより,旋回失速セルにおける非定常三次元剥離形態を調べるとともに,失速セルの成長過程に及ぼす動・静翼列の間隔の効果を調べた.その結果,動翼前方の静翼を動翼に近づけると小スケールセルの成長は抑制され,十分近づけた場合ではその発生も抑制されること,翼前方の静翼を動翼に近づけるほど大スケール変動が生じて大スケールセルが形成される流量が高くなること,動・静翼の間隔によらず大スケールセル前縁部で発生した小スケールセルは両者の旋回速度差により大スケールセルの後縁へと移動し,流量が回復して翼が正常に作用した領域で消滅することが明らかとなった.また,動翼列全周にわたる700万点の計算格子を用いた大規模RANS非定常数値シミュレーションから,上記の旋回失速セルの初生には翼端漏れ渦の崩壊が密接に関係しており,渦崩壊を伴う漏れ渦が隣接翼の前縁と干渉する際に竜巻状の剥離渦が翼前縁部で形成され,その剥離渦が旋回失速セルへと成長することが分かった.
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