研究課題/領域番号 |
10305026
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
宮崎 誠一 広島大学, 工学部, 助教授 (70190759)
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研究分担者 |
村上 秀樹 広島大学, 工学部, 助手 (70314739)
香野 淳 福岡大学, 理学部, 講師 (30284160)
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キーワード | シリコン / 量子効果 / 量子ドット / 減圧CVD / 位置制御 / 走査プローブ顕微鏡 / トンネル電流 |
研究概要 |
ナノメートルサイズに寸法制御したシリコン量子ドット(SiQDs)を用いて、室温で動作する機能電子デバイス実現のための基礎研究を実施した。本年度は、(1)SiQDsを極薄シリコン熱酸化膜(SiO_2)上の任意の位置に形成する技術の確立と(2)極薄SiO2膜で覆ったSiQDsにおいて、ドット間電子輸送の特性評価と機構解明に力点を置いて研究を推進した。SiQDsの形成位置制御に関しては、概ね確立できた。具体的には、表面化学洗浄したSi基板を減圧熱酸化して厚さ1〜2nmの高信頼SiO2膜を形成後、〜10-5Paの水素分圧下において、負バイアス印加したPt-Ir探針を走査プロープ顕微鏡で駆動し、SiO_2膜表面に局所的に低エネルギー電子ビームを照射した。電子ビームと同時に、清浄なPt-Ir探針表面に室温で解離吸着した原子状水素がビーム状に電界蒸発するので、電子ビーム照射領域に発生した表面ダングリングボンドやウイークボンドと原子状水素が反応し、高効率でSi-HやSi-OH結合が形成される。電子ビーム照射に引き続き、モノシラン(SiH_4)ガスの減圧CVDによって、SiQDsを形成した。この時、表面Si-HおよびSi-OH結合は反応活性サイトとなるため、SiQDsの形成位置を正確に制御できる。Pt-Ir探針バイアスおよび電子ビームドーズ量の最適化をすることで、SiQDsの配列をナノメートルスケールで制御することに成功した。ドット間の電子輸送に関しては、SiQDs形成と表面熱酸化を繰り返すことで,SiQDsの積層構造を作製し積層方向の電子伝導を評価した結果、複数のドットを介したトンネル伝導において、Random Telegraph Noise(RTN)を室温で明瞭に観測した。RTNにおける時間頻度および電流変化量のゲート電圧依存性から、このRTN現象は、隣接ドットにおける電子捕獲・放出がドット間のトンネル過程を変調する結果として解釈できることを明かにした。
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