1.5μm帯光通信用半導体量子カスケードレーザの基礎研究

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10305028
• 研究種目: 基盤研究(A)
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 荒川 泰彦 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30134638)
• 研究分担者: 染谷 隆夫 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (90292755) ; 平川 一彦 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (10183097) ; 榊 裕之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90013226)
• キーワード: 量子ドット / 量子カスケードレーザ / 半導体レーザ / MOCVD / MBE / ナノ構造 / 量子井戸

研究概要

本研究は,将来C-MOS等の集積電子素子と光素子の融合を目指して、ユニポーラーキャリア動作に基づいた量子カスケード構成による、1.5μm波長帯の半導体レーザを実現するための、結晶成長技術、物理的基礎から素子実現まで一貫して研究を行うことを目指している。
本年度は、伝導帯において大きなバンド不連続性を実現する。技術系としてGaN系及びGaSb系を選びそれぞれについて、結晶成長の研究を進め次年度への整備を行った。
まず、GaN系については、GaN上にInGaN量子ドットと形成することにMOCVD法において成功した。さらに、AlGaN/GaNの単一ヘテロ構造及び変調ドープ構造を作製し、その移動度の構造依存性を明らかにした。また、フォトルミネッセンス測定より、電子の閉じ込め効果の有効性を明らかにした。
一方、GaSb系については、GaSbのバラファ層をGaAs条に成長し、良質なGaSbの表面を得ることができた。さらに、,GaSb条にInAsやInGaSbなどの量子ドットを形成することを試み、良好な結果を得ることができた。また、GaAs上にタイプIIGaSb量子ドットを成長することにも成功した。フォルトミネッセンスの時間分解測定から、タイプIIの効果が量子ドットにおいて実現されていることを立証することができた。
これらの結果は、次年度以降の量子カスケードレーザ実現に向けた基礎研究として有用である。

研究成果

• [文献書誌] 橘浩一、染谷隆夫、荒川泰彦: "GaN上へのInGaN量子ドットの自然形成" 電子情報通信学会論文誌. Vol.J81-C-I No.8. 474-475 (1998)
• [文献書誌] K.Yamanaka, K.Suzuki, S.Ishida, and Y.Arakawa: "Light Emission from Individual Self-assembled InAs/GaAs Quantum Dots Excited by Tunnening" Current injection", Appl. plys. Lett.Vol.73, No.11. 1460-1462 (1998)
• [文献書誌] T.Saito, J.N.Schulman, ^* and Y.Arakawa: "Strain-energy Distribution and elctronic structure of InAs Pyramidal Quantum Dots with Uncovered Surfaces : Tight-binding Analysis" Phys. Rev. B.Vol.57. 13016-13019 (1998)
• [文献書誌] Y.Toda, S.Shinomori, K.Suzuki, and Y.Arakawa: "Near-field Magneto-optical Spectroscopy of Single Self-assembled InAs Quantum Dots" Appl. Phys. Lett.Vol.73, No.4. 517-519 (1998)
• [文献書誌] Y.Toda, S.Shinomori, K.Suzuki, and Y.Arakawa: "Polarized Photoluminescence Spectroscopy of Single Self-assembled InAs Quantum Dots" Phys. Rev. B.,. Vol.58, No.16. (1998)
• [文献書誌] Xin-Qi Li and Yasuhiko Arakawa: "Anharmonic Decay of Confined Optical Phonons in Quantum Dots" Phys. Rev. B.Vol.57. 12285-12290 (1998)