研究課題/領域番号 |
10305030
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
松本 智 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00101999)
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研究分担者 |
伊藤 公平 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (30276414)
桑野 博 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10051525)
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キーワード | シリコン / 自己拡散 / 高純度同位元素 / 点欠陥 / 空格子点 / 格子間原子 / フェルミ準位効果 / プロセスモデリング |
研究概要 |
シリコン中の点欠陥(空格子点あるいは自己格子間原子)の性質および挙動、すなわち点欠陥濃度、点欠陥の拡散係数の評価は、シリコンLSI技術において極めて重要である。ところがシリコンの場合、その放射性同位元素の半減期が極めて短く、この方法でシリコン自己拡散の研究を行うのは困難な状況である。本研究は、ウラン同位体濃縮技術を利用して入手可能となった高純度シリコン同位元素を用いて、シリコンの自己拡散を調べることを目的としている。この研究の一環として今年度は、ガスソースMBEによるSiエピタキシャル成長の低温化技術の確立を目的とした。 ジシラン(Si_2H_6)を原料ガスとし、Si(111)上のSiの低温エピタキシャル成長を行った。基板温度を比較的低温(525℃)で固定し、成長膜の結晶性を改善するために一定の周期で短時間の急速加熱を加えた。この急速加熱中は、原料ガスの供給を停止した。急速加熱温度(650〜850℃)、加熱時間(30〜90s)、初期Si膜厚(3〜60nm)を変化させてエピタキシャル成長を行い、成長膜の表面モフォロジーをタッピングモード原子力間顕微鏡(AFM)により評価した。急速加熱なしで525℃において成長させた場合には、明瞭なステップ・テラスは観察されず、3次元島成長であった。これ対し、650〜825℃の急速加熱を加えた場合、明確なステップ・テラスの平坦な2次元成長が得られた。成長膜の表面モフォロジーは、急速加熱の時間と温度の両方に依存することが明らかとなった。また、一度ステップ・テラスが形成されると、その後に急速加熱を加えてもテラス幅にはほとんど影響がなかった。この急速加熱は、成長温度の低温化を達成すると同時に表面の平坦性を原子レベルで改善することができることが明らかとなった。
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