研究概要 |
人間は,五感で代表される多種類の感覚受容器から外界の情報を獲得し,主として連合野における階層的統合モデルによりこれらの情報は融合され,運動系も含めたトータルシステムとして,柔軟性・信頼性の高い認識判断機構を実現している.研究代表者らは,このような階層統合モデルを持つ認識・行動システムの工学的の実現と,人間の住む実世界とのインタラクションをリアルタイムに実現するための基盤技術・理論を体系化について,「センサフュージョン」という概念を国内で初めて明確に定義している.また,その考えに基づき,ロボットハンドとアーム,アクティブピジョンを同時に,視覚も含めて1msという従来にはない高速なサイクルタイムで制御可能とする1ms感覚運動統合システムの開発に成功している.本研究は,これらの実績をもとに,人間との協調かつ環境への柔軟な対応を考慮したリアルタイム認識・行動システムの構築と,その日常実世界レベルでの導入を目的とする. 平成,10年度は,高速センサフィードバックを実現するための階層並列処理システムの設計・開発を行い,特に視覚に関するセンサフィードバックの高速化に関する開発・研究を進めた.具体的には,以下の研究を行った. 1. DSPを用いた階層並列処理システムの設計と構築を行った. 2. 高速視覚センサデバイスの設計・改良を行った. 3. 高速視覚システムのためのアルゴリズム開発を行った. 4. 高速センサフィードバックのためのアクチュエータの開発を行った. 5. 視覚と運動感覚に関する階層型統合モデルを提案し、それに基づく基礎実験を行った. 6. センサ情報獲得の高速性を考慮した能動的センシング手法と制御手法を提案し、その動作を確認するための基礎実験を行った.
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