研究課題/領域番号 |
10305043
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
廣川 美子 名古屋市立大学, 芸術工学部, 教授 (40001234)
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研究分担者 |
阪口 明弘 日本建築総合研究所, 環境試験室, 研究員 (10215618)
日色 真帆 愛知淑徳大学, 現代社会学部, 助教授 (50222237)
小倉 繁太郎 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (70214096)
伊藤 泰行 名古屋市立大学, 芸術工学部, 助教授 (80203181)
山下 享子 名古屋市立大学, 芸術工学部, 教授 (20023674)
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キーワード | 聚楽土 / 大阪土 / 桃山土 / 色差 / 測色 / 扇状地 / カラーマッチング / 伝統的土壁 |
研究概要 |
高級土壁の展示場といわれる角屋の、土壁の塗りたて当初の色を再現するために、1992年2月の測定値と2000年2月の測定値の比較を行い、変化の方向と変化量を考察した。L^*a^*b^*表色系により色差を求めているが、L^*値について新旧で変化の大きい土壁は黄大津磨きと赤大津磨きであり、共にL^*値の高い方に変化している。C^*値については黄大津磨きと大阪土の変化が大きく共にC^*値の低い方に変化している。a^*値とb^*値について変化が大きいのは、a^*値は江州白の赤と大阪土であり、共にa^*値の低い方に変化、b^*値は赤大津磨き、黄大津磨き、大阪土であり、すべてb^*値の低い方に変化している。色差が最も大きいのは扇の間西側廊下の赤大津磨きと馬の間縁側の江州白の赤であった。聚楽土と漆喰壁の色差は少なかった。文化財壁の復元作業においては色合せが重要な役割をもつ。今回文化財壁を形成している土、砂、すさのような粉末状の試料の色の数値化に伴う測色技術およびコンピュータを用いた色合せを検討した。粉体の分光特性はその充填密度、厚さ、入射光を照射する側の試料面の状態に強く依存するので、充填作業に個人差がでにくいよう開発したセル厚可変の石英窓板付き粉末セルと精度よく散乱光のみを検知する正反射トラップ付き大型積分球の組み合わせを用いた拡散反射測定によってこの問題点を解決した。この測定法で得た可変スペクトルをもとにCCM(コンピュータカラーマッチング)を行った結果、目標色との色差が1.0未満の良好な結果を得た。関西には聚楽土、大阪土、浅黄土、九条土、桃山土等の色土が豊富であったが、特に利休が茶室に用いた聚楽土には格別な思い入れがある。その聚楽土を地質学的に知るために、その採集地の地層の成り立ちを調べることにした。聚楽土は平安京跡付近の地下の泥層を掘ったものである。考古学では平安京の地盤と考えている。京都盆地北部の平原は賀茂川や天神川などの扇状地でできている。扇状地礫層の上には厚さ1m程度の泥層が堆積している。その形成過程を知るために、各地の扇状地上の泥層を採集している段階である。
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