研究課題/領域番号 |
10305044
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
丸川 健三郎 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20001191)
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研究分担者 |
高間 俊彦 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40001309)
武沢 和義 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80001311)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 相変態 / マルテンサイト変態 / ベイナイト変態 / Cu合金 / 原子間力顕微鏡 / 電子後方散乱像 |
研究概要 |
本研究は原子間力顕微鏡を使って試料表面の起伏形状を精密に測定することにより、相変態生成物の変態歪を求めることを目的としている。ここで試料としては金属または合金を想定している。相変態は大きく分けて変位型と拡散型の二つに分けられるが、そのうち変位型では相変態に際して多数の原子が同時に協力的に変位することによって原子配列が変化する。拡散型では個々の原子が独立に移動することによって新しい原子配列が作られると考えられてきた。変位型相変態は必然的に変態歪を伴うが、これは変態前後の結晶構造パラメータを使って計算で求めることも出来る。一方、拡散型変態では変態歪は存在しないと考えられてきたが、実際には表面起伏の報告例があり、変態歪の存在が暗示されている。この場合、変態歪の精密測定によって変態に際しての原子移動に関する知識が得られるはずである。 本研究においては、銅合金におけるマルテンサイト変態(変位型)とベイナイト変態(拡散型)の変態生成物について観察をおこなった。変態歪を求めるためには、表面起伏のデータと変態生成物の結晶学的方位のデータとが必要である。表面起伏の測定には原子間力顕微鏡を使い、結晶学的方位の決定には電子後方散乱回折法という新しい方法を試みた。また、測定誤差の軽減を測るため変態生成物の双晶の利用を試みた。双晶では水平面決定に関する誤差が二つの結晶について逆符号となるので、互いに相殺されて精度があがる。このような方法で測定を行い、高温ベイナイトの変態歪みとして、マルテンサイトと同程度の値を得た。これより、ベイナイト変態の原子的機構にはマルテンサイトと同様な協力的原子移動が含まれていることを結論した。
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