研究課題/領域番号 |
10305045
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
坂 公恭 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (90023267)
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研究分担者 |
佐々木 勝寛 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (00211938)
黒田 光太郎 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (30161798)
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キーワード | 破壊 / DBTT / 亀裂 / TEM / 転位 / FIB |
研究概要 |
材料の破壊は材料科学の最重要課題のひとつである。材料の破壊の研究には、2つのアプローチが存在する。その1つは巨視的なアプローチで、その対極に位置する方法は計算機によるシミレーションである。しかし、この両者を橋渡しするメゾスコピックな尺度での亀裂の挙動に関する情報が現在欠落している。 メゾスコピックなアプローチとしては透過電子顕微鏡(TEM)が最適である。本研究はバルク結晶内での亀裂先端部の構造変化を透過電子顕微鏡で観察するものであり、これまで欠落していた破壊のミクロとマクロの研究の橋渡しをすることを目的としている。 本年度の実績は以下のごとくである。 (1) 試料としては単結晶シリコンを用いた。その理由はシリコンは現在入手できる結晶のうち最も純度、完全度が高い結晶であり、且つ、温度を変化させることによって延性破壊、脆性破壊のいずれも起こさせることが可能なためである。 (2) 無転位のシリコン単結晶に室温でビッカース圧痕によって直線的な亀裂を導入した後、延性-脆性遷移温度(DBTT)近傍の600℃で更に3点曲げによって亀裂を伝播させた。 (3) 亀裂先端部をピンポイントで狙ってFIB装置で薄膜試料を加工した。 (4) この試料を加速電圧1000kVの超高圧電子顕微鏡で観察した。 (5) 室温で導入した脆性亀裂は極めて直線的でその周辺には転位等は一散観察されなかったのに対して、DBTT近傍で伝播した亀裂はジグザグしており、且つ破面の周辺に多数の転位ループが観察された。 (6) これらの転位ループの解析より、亀裂周辺での転位の発生に関して新しいモデルを提唱した。
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