研究課題/領域番号 |
10305048
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岩原 弘育 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (80023125)
|
研究分担者 |
松本 広重 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助手 (70283413)
志村 哲生 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助手 (30273254)
|
キーワード | プロトン / セラミックス / 水素ポンプ / 水素ガス電極 / 薄膜 / プロトンの移動度 |
研究概要 |
本研究はプロトン導電性セラミックスの水素ポンプ機能を解明し、これを水素関連の工業プロセスや科学装置に活用するための工学的指針を得ることを目的としたもので、今年度は次の成果を得た。 1.大電流通電がセラミックスの導電特性に及ぼす影響の検討 SrCeO_3系プロトン導電性セラミックスを水素ポンプの電解質として用い、これに電圧を印加した状態でアノード質に水素を導入したとき流れる電流と水素発生についての過渡応答を調べて、セラミック中のプロトンの輸送についての様々な知見を得ることができた。とくに、水素ポンプの過渡応答から電解質中のプロトンの移動度を直接測定する新しい手法を開発し、これによりこの条件下でのプロトンの移動度を知ることができた。 2.大電流通電時の水素ガス電極挙動と水素ポンプ性能の改善 本年度はカソードに注目して検討した結果、大電流通電時のカソードガス中の水蒸気分圧が極端に低下する現象を見出し、水素発生効率が低下するのは平衡酸素分圧の極度な低下により電解質のカソード界面が部分還元され電子伝導性が出現するためであることを突き止めた。その結果、カソードガスに水蒸気を添加して極度な還元雰囲気になることを防止することにより、700℃で1A/cm^2という高電流密度までファラデー則にほぼ従って水素をポンプすることに成功した。 3.プロトン導電性セラミックスの薄膜化と電極の薄膜化 プロトン導電性セラミックスの水素ポンプに用いるための薄膜化条件とこれに取付ける薄層電極の微細構造制御について基本指針を得ることができた。 4.水素ポンプ機能を持つ新規プロトン導電酸化物の探索 今年度、新たにSrY_<0.5+X>Ta_<0.5-X>O_<3-α>やLa_<1-X>Sr_<1+X>AIO_<4-α>などのセラミックスが高温水素存在下でプロトン導電性を示すことを明らかにした。
|