研究分担者 |
竹内 章 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (40250815)
張 涛 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (70250818)
河村 能人 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30250814)
木村 久道 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00161571)
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研究概要 |
本年度では、Fe基およびCo基合金において、結晶化温度(T_x)以下で明瞭なガラス遷移と広い過冷却液体を示すと共に、ユニークで且つ有用な磁気特性を示す新しいガラス合金を見出すことを第一の目的として研究を行った。その結果、Fe-Nb一B系3元合金の30〜35at%の高B濃度域において、50K以上の広い過冷却液体域を示すFe基ガラス合金を見出した。この合金での過冷却液体域の最大温度幅は71Kであり、約240μΩcmの高電気抵抗を有している。また、飽和磁化は約0.9T、保磁力は2A/m、透磁率は1KHzで20000以上、さらに、透磁率が1MHzの高周波域においても7000以上の高い値を保持している。この1MHzでの透磁率は実用のFe基やco基の非品質合金薄帯の約7倍も優れた値であることが注目される。この外に、Co-Fe-Nb-B系においても70K以上の過冷却液体域、約0.4〜0.6Tの飽和磁化、2A/m以下の低保磁力、1kHzで29000の高透磁率、1MHzで8000以上の高周波透磁率を示すことを見出した。これらのFe基およびCo基の軟磁性ガラス合金は、広い過冷却液体域でのニュートン粘性を利用した超塑性加工による、種々の微細精密成形性能を有していることも確認されており、従来の非晶質磁性合金では得られなかった新しいタイプの軟磁性材料として注目できる。 他のFe基軟磁性合金として、我々はこれまでにFe-(Al,Ga)-(P,C,B,Si)系を見出し報告していたが、本年度の研究において、同合金系で外形10mm、内径6mm、厚さ1mmのリング状バルク金属ガラスが金型鋳造法で作製できることを明らかにすると共に、このバルク材が100000以上の高い初透磁率を示し、軟磁性バルク材料としてきわめて優れたものであることをつきとめている。このように、本研究課題の目的完遂に向けて大きく前進している。
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