研究概要 |
1.非整合介在物上での初析フェライト核生成の結晶学 (非整合MnS+V(C,N))複合析出物上に核生成したフェライトの結晶学的特徴を,Fe_-2Mn_-0.2C_-0.3V_-0.0114N,Fe_-1.5Mn_-0.2C_-0.15V_-0.0215N(mass%)合金を用いて組織観察により調べた. 複合析出物上に生成したフェライトの形態は種々異なる.このようなフェライトはV(C,N)に対して一定の結晶方位関係を持たないが,低指数面および方向が比較的平行に近い関係を持つ場合が多い. SEM_-EBSP解析の結果,複合析出物上に生成した粒内フェライト間の方位関係は全てK_-S関係のバリアントで説明することはできない.また,Kikuchi線解析により決定した粒内フェライト/マルテンサイト間の関係も,K_-S関係のバリアントには当てはまらない.以上より,(非整合MnS+VC)複合析出物上フェライト核生成においては結晶方位関係のランダム化が起こることが明らかとなった. 2.幾何学的理論を用いたfcc/bcc間の結晶学および界面構造の解析 特定の結晶方位関係を満足しないfcc/bcc間の異相界面構造の解析を,与えられた結晶方位関係について2結晶間の原子位置の相対的ずれを計算し,整合原子対の密度を評価するNear Coincidence Site Lattice(NCS)理論を用いて行った. Ni-Cr合金のfcc母相粒界に析出したbcc相の両側の界面で実験的に観察されたファセット面は,特定の結晶方位関係の有無に関わらず,NCS密度の高い面と一致している場合が多い.すなわち,NCS理論が任意の結晶方位関係における界面構造の解析に有効であることがわかった.
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