研究概要 |
Fe-2Mn-0.2C亜共析鋼における(非整合MnS+V(C,N))複合析出物上に核生成した粒内フェライトの形態および結晶学的特徴におよぼす変態温度の影響を調べた.その結果,変態温度が高く過冷度が小さい場合には,フェライトは塊状で,母相オーステナイトに対して特定の結晶方位関係を持たないが,温度が低下して過冷度が大きくなると,板状・針状の形態に変化し,母相徒の間にK-S関係を満たして生成するようになることを見出した. Fe-16Cr-2Cuフェライト系ステンレス合金を用いて,過飽和α(bcc)から析出したε-Cu(fcc)の形態・結晶学的特徴・界面構造の冷間圧延および再結晶による変化を透過電顕観察し,界面の非整合化と粗大化過程との関連を調べた.その結果,αの再結晶によってε-Cuは母相αに対して析出時に持っていた特定の方位関係を失い非整合化すること,ε-Cuは非整合化後はα粒界に偏在して急速に粗大化することが明らかになった. Fe-33Ni-10Co-4Ti形状記憶合金において,オーステナイト域での時効によって生成するγ'析出物のサイズとマルテンサイト変態挙動との関連を調べた結果,γ'粒径が小さい場合には変態と共にγ'がシアーされて熱弾性マルテンサイトが生成するのに対して,γ'粒が粗大になると変態に伴って構造が変化せずにマルテンサイト中で非整合化し非熱弾性型のマルテンサイトが生成することを見出した.
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