ガスタービン、ボイラなどのエネルギ変換機器に使われている耐熱材料はエネルギの高効率化と環境問題に関連して、高温の苛酷な腐食環境に曝される傾向にある。その結果、耐熱材料には全面腐食とともに結晶の粒界が選択的に腐食され、さらに応力が付加すると極端に加速される現象が発生し、その対策は急務となっている。 本研究では、耐熱材料の粒界硫化腐食と応力の相互作用の解明を目的に、研究初年度として、以下の項目について検討した。 (1) 応力下における腐食試験装置の製作: サーボバルサーを購入し、電気炉と反応管を新しく設計・製作した。 (2)レーザ顕微鏡:腐食生成物の表面の三次元形態観察用 サーボパルサーへの腐食・反応管の組み込みを行い、腐食性ガス導入・制御機器を連結し、応力付加状態での腐食を調査できる装置を開発した。また、腐食試験片の選定と加工を終了した。 腐食環境・応力下での予備実験から、装置は設計通りの性能を有することを確認したが、腐食試験片を保持するための指示棒(ステンレス鋼)自体が予想以上に腐食されることが明らかとなり、材質の変更を検討している。一方、無応力下での腐食実験を、既設の腐食装置を用いて行い、比較材としてのデータを取得することができた。
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