研究概要 |
亜硫酸ガス含有雰囲気におけるFe-25Cr合金の高温腐食挙動と応力、特に、クリープによる基材の変形との相互作用について、調査した。得られた結果は以下のようにまとめられる。 (1)クラックの間隔(L)は定常クリープ段階のクリープ速度(ε')の指数関数L∝(ε)^nで表現される。nの値は、粒界では-0.44、粒内では-0.22である。 (2)Fe-25Cr合金の973K、N_2-0.1%SO_2雰囲気における腐食は、消音中にクロム硫化物を形成するが、次第にCr_2O_3主体のスケールに変化した。応力下での腐食実験では、応力が20MPa以下の時、および±40MPaの繰返し応力、で歪み量が0.1%以下の時は被膜の破壊されず、急速な腐食は生じない。しかし、スケール中のFe量が増加し、Fe, Cr-oxidesあるいはFe-oxidesの混在したスケールに変化した。36ks酸化後で比較すると、スケールの厚さは無応力下で1μm程度あるのに対して、応力負荷では、2μm以上に成長していた。 (3)25-MPa以上の一定応力を負荷すると、36ks以内で加速的な試料の変形が生じ、スケールには応力軸に垂直にはクラックが発生し、そこから雰囲気ガスが侵入して、腐食が急速に進展した。クラック部には硫化物と酸化物からなるノジュール腐食が発達した。 (4)ノジュールは時間の経過とともに、内芯はFeS、その外部をFe-oxidesが取り囲んだ複層構造に変化する。試料の変形速度が速いほど、こののジュールが発達し、3.3%歪みの段階では、スケール厚さは30μm以上に達した。
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