研究概要 |
平成11年度は「異波長パルスレーザ重畳照射時における各種材料の溶融特性の解明」および「レーザ溶接におけるキーホールダイナミックスの直接観察」を主として行った.その概要を以下に示す. 1)異波長パルスレーザ重畳照射時における各種材料の溶融特性の解明 基本波パルスYAGレーザ(波長:1064nm)と第2高調波QスイッチYAGレーザ(波長:532nm)を各種金属表面に照射し,その場合の溶融特性を詳細に解明した.その結果,光の反射率の高い純銅や純アルミニウムではピーク出力5kW級の基本波YAGレーザでは全く溶融しないが,第2高調波YAGレーザでは平均出力が40Wと低いにも関わらずアスペクト比の高い溶融部が得られること,および2波長を重畳すると基本波YAGレーザビームの吸収が促進され溶融断面積が3割以上拡大することが明かとなった.銅およびアルミニウム以外の材料でも2波長を重畳することにより溶融効率が向上することを確認した. 2)レーザ溶接におけるキーホールダイナミックスの直接観察 連続レーザ溶接およびパルスレーザ溶接におけるキーホール挙動とプラズマ挙動との相関性を高速度X線透視装置とプラズマ観察用の高速度ビデオを同期させて高時間分解能観察を行った.その結果,連続レーザ溶接では一定レーザ出力にも関わらずキーホールの深さおよび形状は速い周期で変動し,このキーホール不安定性と金属プラズマの噴出角度変動は完全に対応していることが明かとなった.さらに,レーザ溶接特有のポロシティ形成はこのキーホール不安定性に起因していることを明らかにした.またパルスレーザ溶接では,レーザ出力を急激に減衰させると凝固中にキーホールが崩壊し,金属蒸気とシールドガスがキーホール底部に閉じこめられ特有のポロシティが形成され,この防止にはパワー減衰時に適切な波形制御が有効であることを示した.
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