研究分担者 |
宇都宮 徹 九州大学, 医学部, 助手 (30304801)
島田 光生 九州大学, 医学部, 教授 (10216070)
杉町 圭蔵 九州大学, 医学部, 教授 (00038762)
中澤 浩二 九州大学, 工学研究科, 助手 (00304733)
井嶋 博之 九州大学, 工学研究科, 講師 (10274515)
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研究概要 |
1. 初代ブタ肝細胞の大量調製法の確立 コラゲナーゼ(細胞分散酵素)灌流装置で摘出肝臓を処理後、得られた肝組織を106μmのメッシュを使用して細胞単位まで分散させる方法を確立した。この方法によって,体重約10kgのブタ2匹の摘出肝臓(約570g)から、約3時間で生存率85%以上の肝細胞を370g以上調製できるようになった。 2. 体重25kgブタの生体肝臓の約30%肝細胞量を充填した人工肝臓モジュールの作製 既知の最適条件をもとに肝細胞100gを充填できる体積1000cm^3(6.5×30cm)の多細管ポリウレタン発泡体(PUF)充填層型モジュールを作製し,本モジュール2本(200g)を使用することによって体重25kgブタの生体肝臓の30%を充填することを達成した。モジュールを培養した結果、培養1日目には肝細胞スフェロイドが形成され,良好な機能を少なくとも1週間以上維持した。 3. 人工肝臓用体外循環システムの改良 既存の人工肝臓用体外循環システムを改良し,80ml/minの血液流量から60ml/minの血漿分離ができるようにすることによって,循環負荷を軽減した状態で良好な治療効果が発揮できるシステムを作製した。 4. 温虚血肝不全ブタを用いたハイブリッド型人工肝臓の性能評価 上記2と3で作製したモジュール及び体外循環システムを使用し,体重約25kgの温虚血肝不全ブタに適用した。その結果,延命や血中アンモニアの正常値の維持,血糖値の維持など良好な治療効果が得られた。 以上の結果,本システムの新しい治療法としての有効性が示された。現在ヒト臨床を目指し、モジュールのスケールアップ及び体重50kg程度の肝不全ブタへの適用実験の試みを始めている。
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