研究課題/領域番号 |
10305065
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
工業物理化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
甲斐 泰 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40029236)
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研究分担者 |
望月 衛子 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教務職員 (10150335)
井上 豪 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (20263204)
金久 展子 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (20177538)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | X線結晶構造解析 / 炭酸固定酵素 / ルビスコ / 迅速X線回折計 / 蛋白質複合体 / 蛋白質の結晶化 |
研究概要 |
平成10年度から12年度まで3年の研究期間中に、炭酸固定酵素ルビスコの新しい3次元構造をいくつか決定することが出来た。また、これらの分子構造から、ルビスコの炭酸固定の機能を制御する具体的な方法についての貴重な〓見が得られた。 ルビスコは二酸化炭素を固定する反応と同時に、酸素を固定する反応をも触媒する。そのため、これらの反応比を高めることが出来れば、より効率的な炭酸固定酵素を設計することが出来る。ルビスコは活性中心にマグネシウムイオンを持つが、これをマンガンイオンに置換すると炭酸固定能が低下する。この原因を解明する一環として、マンガン置換ホウレンソウルビスコのX線結晶構造解析を行った。 ルビスコの活性部位近傍にはループ-6と呼ばれる柔軟なループが存在し、反応基質のリブロースビスリン酸が存在しない場合は、活性中心から離れた開構造をとるが、基質が存在すると閉構造を取って、ループの中央部分にあるリジン残基で、基質に二酸化炭素が結合した反応中間体を活性中心に保持することが知られている。今回結晶構造解析した紅藻Galdieria partita由来のルビスコは、反応中間体モデル分子が存在しないにも係わらず閉構造を取っていたことから、詳しく構造を検討したところ、このループの開閉に関与すると思われる新しい相互作用を見出した。 また、緑藻Chlamydomonas reinhardtii由来のルビスコは、遺伝子操作が容易なため酵素学的研究は進んでいたが、分子構造に関する知見が得られていなかった。そこで、このルビスコのX線結晶構造解析を行ったところ、ルビスコを構成する大きなサブユニットについてはホウレンソウなどのルビスコと大差なかったが、小さなサブユニットでは、挿入領域が2箇所、C末端が11残基長くなっており、その違いはルビスコ複合体分子の中央の溶媒チャネルの大きさに顕著に現れていた。
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