研究課題/領域番号 |
10305067
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
高分子合成
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
遠藤 剛 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (40016738)
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研究分担者 |
三田 文雄 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教授 (70262318)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 平街重合 / ポリマーリサイクル / 双環状モノマー / スピロオルトエステル / ビシクロオルトエステル / 架橋 / 一重開環 / 解架橋 |
研究概要 |
本研究は平衡重合を基盤とするポリマーリサイクルシステムの構築を目的とする。平成10年度は二官能性双環状モノマーの合成とそのカチオン重合ならびに得られた架橋ポリマーの解架橋反応を検討した。エキソメチレン基を有するスピロオルトエステル、ビシクロオルトエステルとジチオールとのラジカル付加反応ならびに水酸基を有するスピロオルトエステル、ビシクロオルトエステルと二官能性カルボン酸クロリド、二官能性イソシアナートとの反応により二官能性スピロオルトエステル、ビシクロオルトエステルを合成した。得られた二官能性モノマーの架橋反応を四塩化スズ、三フッ化ホウ素工一テル錯体、トリフルオロメタンスルホン酸メチル等のカチオン重合開始剤を用い、塩化メチレン中(濃度1M)、0℃で行い、対応する架橋ポリマーを定量的な収率で得た。IRスペクトルから、架橋ポリマーはスピロ環の1つの環状エ一テル部のみが開環した構造を有しており、二重開環ユニットはポリマー中に含まれていないことが判った。さらに、得られた架橋ポリマーを塩化メチレンに分散させ、カチオン重合開始剤を添加後室温で攪拌したところ、架橋ポリマーは数分で溶解し、反応混合物は均一になった。反応混合物からモノマーの二官能性双環状モノマーが収率70%程度で収率で回収された。残りの30%は溶媒に可溶のオリゴマーであった。以上のことから双環状モノマーの平衡重合性を利用した二官能性モノマーと架橋ポリマー間の相互転換の可能性が確認された。平成11年度は前年度の結果を受けて、側鎖にスピロオルトエステル、ビシクロオルトエステル基を有するポリマーを合成し、そのカチオン架橋反応と、得られたポリマーの解架橋反応を検討した。塩化メチレン中、0℃で架橋反応は定量的に進行し、各種溶媒に不溶の架橋ポリマーが得られた。1Rスペクトルから、二官能性モノマーの架橋と同様に、架橋ポリマーはスピロ環の1つの環状エーテル部のみが開環した構造を有しており、二重開環ユニットはポリマー中に含まれていないことが判った。得られた架橋ポリマーを塩化メチレンに分散させ、カチオン重合開始剤を添加後室温で攪拌したところ、架橋前とほぼ同様の分子量のポリマーが良好な収率で回収された。以上のことから、側鎖にスピロオルトエステル、ビシクロオルトエステル構造を有する線状ポリマーと架橋ポリマー間の可逆的な架橋・解架橋の可能性が示された。
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