研究課題/領域番号 |
10306005
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小林 迪弘 名古屋大学, 農学部, 教授 (60111837)
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研究分担者 |
新美 輝幸 名古屋大学, 農学部, 助手 (00293712)
池田 素子 名古屋大学, 農学部, 助手 (20262892)
柘植 尚志 名古屋大学, 農学部, 助教授 (30192644)
柳沼 利信 名古屋大学, 農学部, 助教授 (60135332)
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キーワード | 核多角体病ウイルス / 宿主域 / ウイルスDNA / 出芽ウイルス / 細胞病変効果 / ポリヘドリン / 重感染 |
研究概要 |
アメリカシロヒトリ核多角体病ウイルス(Hyphantria cunea NPV,HcNPV)は、カイコ由来のBmN-4細胞において、細胞病変効果の誘起およびウイルスDNAの複製は行うものの、出芽ウイルス産生、ウイルス構造タンパク質の蓄積およびポリヘドリンの蓄積は引き起こさず、多角体も形成しない。本研究では、BmN-4細胞を通常の宿主細胞とするカイコ核多角体病ウイルス(Bombyx mori NPV,BmNPV)を感染させたBmN-4細胞に、HcNPVを同時あるいは時間差感染することによって、HcNPVがどのような増殖特性を示すかを調べた。 HcNPVとBmNPVをcoinfectionしたBmN-4細胞で、多角体の形成は観察されなかった。また、ウイルス構造タンパク質およびポリヘドリンの蓄積も、BmNPV感染細胞に比べ劇的に減少していた。さらに、HcNPVおよびBmNPVのそれぞれのウイルスのタンパク質発現について検討するために、両ウイルス間で分子量の異なるGP64の蓄積を調べた。GP64は出芽ウイルスのエンベロープの主要タンパク質であり、BmNPV感染BmN-4細胞においては、感染後約48時間後をピークに多量の蓄積が認められるが、HcNPVをcoinfectionすることによってBmNPV由来GP64の蓄積はほとんど認められなくなった。HcNPVとBmNPVとをcoinfectionして72時間後のウイルスDNAの蓄積は、両方のウイルスのものが認められた。以上の結果から、HcNPVとBmNPVとをBmN-4細胞にcoinfectionすることによって、BmNPVの増殖が大きく阻害されることが示された。 次に、BmNPV感染BmN-4細胞に、0、1、3、6、12、24時間の差をつけてHcNPVを感染させ、GP64の蓄積およびウイルスDNAの蓄積について調べた。その結果、HcNPVがBmNPVの増殖を阻害することができるのはBmNPV感染後約3時間までであり、この阻害現象は感染過程の比較的初期の段階でおこっていることが示唆された。
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