研究概要 |
家蚕核多角体ウィルス(BmNPV)の機能解析とベクターとしての資質について,ウィルス温度感受性変異株の作出とその機能解析,ウィルスプロモーターの機能解析および抗原遺伝子の発現機作に関する研究を通じて検討した。 Bm NPVを突然変異誘発剤(Brdu)を用いて温度感受性(25゜,33℃)変異株を作出し,ヘリカーゼに欠損のある変異株とRNAポリメラーゼに欠損のある変異株を単離した。このウィルス複製とウィルスのパッケージングの組合せによるベクターとしての利用法を示した。またコナガ顆粒病ウィルス(PxGV)の全塩基配列を決定し,関連ウィルスのベクター利用のための基本的な情報を提供した。 外来遺伝子を効率良く発現させるために,Bm NPVのie1遺伝子のプロモーターについて検討し,初期に発現する遺伝子上に存在し,昆虫変態ホルモンで調節可能であること,またプロモーター活性も調節可能であることを発現した.またPfDNVのゲノム解析から,少量のゲノムサイズで効率良い情報発現の系を確立した。 さらにnon-LTR型のレトロトランスポゾンをゲノム挿入に必要なベクターと捉え,rDNAに特異的に存在するR2Bmを使って解析し,TPRTと宿主の修複機構による相同組換えによるゲノムへの挿入が可能であることを証明した。 以上の研究の組合せにより,効率良い導入系(ベクター)構築が可能となった。
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