研究概要 |
大腸菌のグルタチオン代謝: システイニルグリシナーゼ活性を持つアミノペプチダーゼB(PepB)の持つ金属イオンの同定を目的とした精製、様々な金属イオンのPepBに対する影響、またその基質特異性について検討した。PepBはMn^<2+>によって活性化されたが、本精製酵素はZn^<2+>をMn^<2+>の10倍以上含有していた。しかし、高濃度のZn^<2+>の添加によって酵素は失活するため、PepBにおけるZn^<2+>の働きは不明である。また、PcpBにはMn^<2+>の結合しやすい場所とCo^<2+>,Ca^<2+>,Fe^<2+>の結合しやすい場所があると考えられ、これらの金属イオンの相互作用によって高い活性化がみられた。Mn^<2+>,Co^<2+>についてはPepBの熱に対する安定化効果も得られた。また、PepBのCys-Glyに対する活性は極めて高く、Cys-Glyが最も良い基質であったことから、グルタチオン分解系においても、PepBがCGaseとして機能していると考えられた。:大腸菌K-12株において、ジペプチドを細胞質内に取り込む系として、OppAオペロンの産物によるもの、OppEオペロンの産物によるもの、Dppオペロンの産物によるものが知られている。これまでにdppA::Tn10とOppE欠損株を準備できていたので、まずoppPA::kan変異株の作製を遺伝子破壊法によって行った。また、3種類のペプチド取り込み系欠損変異を組合わせた株(いずれか1つの取り込み系を欠損したもの3つ、2つを欠損したもの3組、3つすべてを欠損したもの)をP1ファージを用いた一般形質導入法により作製した。 大腸菌のγ-グルタミルトランスペプチダーゼの結晶構造解析: 重原子置換体の作成条件を検討し、これまで1本につながっていなかった主鎖を1本にすることに成功した。また、セレノメチオニンを用いた置換体の作成も検討した。 Erwinia herbicola由来チロシンフェノールリアーゼ(TPL)の立体構造: PEG6000を用いて野生型のTPLの結晶化を行い、X線結晶解析が可能な結晶を得ることができた。電子密度図を作製しリファインメントを行っている。 Micrococcus luteusのモノアミン酸化酵素: M.Iuteusのモノアミン酸化酵素(MAO)の遺伝子をクローニングしその一次配列を決定した。また、クローニング株から効率よくMAOを精製する方法を確立し、2量体構造を取っていることを明らかにした。 出芽酵母の栄養源認識リセプター: GPR1遺伝子破壊株におけるグルコースや発酵性炭素源の添加によるcAMPレベルの変化を調べたところ、一過的な上昇は全く認められなかったことから、Gpr1タンパク質はグルコース依存的にcAMPレベルを調節するレセプターであることが考えられた。
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