研究分担者 |
籾井 和朗 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (40136536)
藤野 和徳 八代高専, 土木建設工学科, 教授 (30117238)
神野 健二 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80038025)
熊谷 朝臣 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (50304770)
竹内 真一 九州共立大学, 工学部, 講師 (30268817)
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研究概要 |
森林場を形成する土壌・樹体・大気における水・熱・二酸化炭素の循環過程を実測し,それをもとに蒸発量・蒸散量を分離評価できるビッグリーフモデルを作成し,これらの関係を総合的に記述するSPACモデルの構築に成功した.また,総合モデルの各構成要素に関する理解・開発が進んだ. (1)九州大学福岡演習林のマテバシイ林において多数の環境因子(日射,長波放射,降雨量,温湿度・風速・二酸化炭素濃度・地温・土壌水分の各分布,樹液流量・流速など)の観測を行なった.パソコンを用いて20チャンネル以上のデータをリアルタイムにコントロール・記録・計算し,その結果をWebサーバ上に記録しInternet上の任意のパソコンから常時モニターできるシステムを開発した. (2)吸水による土壌水分の変動特性を解析した結果、本研究で示した蒸散量と間隙水圧を位相空間上にプロットして求める吸水効果率が、土壌水分の変動に及ぼす蒸散の影響を示す指標として有効であることが明らかになった.また,モデルの重要なパラメータである樹冠遮断量を定量化し,人工降雨装置とマイクロライシメータを用い,リター層の雨水遮断効果と土壌蒸発抑制効果を評価した。 (3)樹体内の水分の動きを長期間モニターするために,ヒートパルス法を応用し,低コストで長期間安定して測定が行えるシステムを開発した,ヒートパルス速度と樹液流速の関係について原理的な再検討を行い,照葉樹林の主要構成種であるブナ科常緑樹に独特の放射状道管の水通導特性・熱運搬特性を明らかにした. (4)樹冠構成木の切り木実験を行うことによって,ヒートパルス速度から樹冠蒸散量を求める関係式を導出した.木を根元から切断後,クレーンで吊るして吸水量を測定すると同時に,木部内水分量の変化や個葉レベルの気孔開度・蒸散量を測定し,樹冠-樹木-個葉レベル間での水移動プロセスの解析を行った.
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