研究課題/領域番号 |
10306011
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯山 賢治 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (60012077)
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研究分担者 |
新谷 博幸 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (30282693)
石井 忠 農林水産省森林総合研究所, 生物機能開発部, 研究室長(研究職)
小島 克己 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助教授 (80211895)
松本 雄二 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30183619)
片山 義博 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 助教授 (10214339)
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キーワード | 植物細胞壁 / リグニン / セルロース / リグニン・多糖結合 / フェルラ酸架橋結合 / DDQ酸化 / 過ヨウ素酸酸化 / Bjorkman LCC |
研究概要 |
本年度研究実施計画に基づき研究を行い、下記の成果が得られた。 1. イネ科植物細胞壁中に存在するフェルラ酸を介したリグニン-多糖結合のフェルラ酸のリグニンへの結合位置。 表記の件はフェルラ酸を介したリグニン-多糖結合の形成ばかりでなく、リグニンの生合成機構にも関わる重要な課題であった。リグニン側鎖のα-エーテル及びα-エステルを選択的に解裂する試薬である2,3-dichloro-5,6-dicyano-1,4-benzoquinone(DDQ)を用いて、リグニン-多糖結合を含む区分及び細胞壁を処理した。生成物を本研究費で購入したLC-MS及びGC-MSで定量的に分析した結果、少なくともフェルラ酸の80%以上はリグニン側鎖α位に結合していることが明らかになり、従来から本研究グループが主張してきた構造の正しさが証明された。なお本研究の一部は平成10年9月に英国で開催された国際細胞壁会議で報告した。 2. Bjorkman LCC区分及び細胞壁中のリグニン-多糖直接エーテル結合の存在。 裸子植物であるエゾマツ及び被子植物であるブナ細胞壁、及びそれらから単離したBjorkman LCC区分を過ヨウ素酸で処理し、それらに含まれるLCCに関与していない多糖を徹底的に分解除去した。反応条件を定めるため、反応時間、温度、試薬量等を変えて実験したところ、20℃48時間暗所で処理することにより、LCCに関与していない多糖をほぼ定量的に分解除去できることが明らかになった。分解残渣を分析したところ多量のエリスロース及び少量のグルコース、キシロースが存在し、主にセルロースのC6位がリグニン側鎖に結合しており、またセルロース及びキシランのC2またはC3位もリグニン-多糖結合に関与していることが明らかになった。
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