研究概要 |
主としてマウス及びブタを材料として実験を行い、次の成果を得た。(1)ブタの1細胞期胚の体外発生に及ぼすヒアルロン酸の影響を解析し、NCSU-23を基本とする培養液に0.25mg/ml添加により高率に胚盤胞期胚に発生することを明らかにした。(2)MAPキナーゼカスケード(Ras,Raf-1,14-3-3,MEK)がマウスの初期発生における卵割に関わることを明らかにした。ERKsは関与しない。(3)初期胚における性染色体、とくにY染色体を視覚化するin situhybridization法を開発し、性の判定された初期胚を培養する系を確立した。(4)リン酸により発生停止の誘起されるラット胚を解析し、エネルギー代謝酵素、ミトコンドリアの分布、過酸化水素の変化を観察した。(5)マウスにおけるリン酸の「2細胞停止」作用を解析し、胚由来遺伝子の発現低下、特にサイクリンB、cdc25の遺伝子発現の低下が「2細胞停止」を誘導することを明らかにした。(6)ラットの2細胞期胚の凍結保存に取り組み、エチレングリコールを基本とした耐凍剤により凍結保存が可能であることを明らかにした。融解後、約30%が胚盤胞期胚に発生した。(7)未分化細胞維持因子である白血病抑制因子の活性とアスパラギンにリンクするグリコシレーションの関係を明らかにした。(8)マウスとブタにおいて体外成熟・体外受精・体外発生させた胚から胚性幹細胞の樹立に成功した。
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