研究課題/領域番号 |
10306021
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
山口 勇 理化学研究所, 微生物制御研究室, 主任研究員 (20087589)
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研究分担者 |
本山 高率 理化学研究所, 微生物制御研究室, 研究員 (70291094)
GOUTHU Satya 理化学研究所, バイオデザイン研究推進グループ, 奨励研究員
有江 力 理化学研究所, 微生物制御研究室, 先任研究員 (00211706)
工藤 俊章 理化学研究所, 微生物学研究室, 主任研究員 (80109793)
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キーワード | 環境汚染物質 / 浄化 / 植物-微生物共生系 / 根圏微生物 / PCNB / マルチトレーサー |
研究概要 |
地球環境の汚染要因と言われているもののうち難分解性農薬であるペンタクロロニトロベンゼン(PCNB)、セシウム等の放射性金属類を本研究の対象として選抜した。 (1)PCNBは、アブラナ科野菜根こぶ病を対象に多用され、土壌等での蓄積が問題となっている。そこで、土壌中の残留PCNBの減少を目的とし、(1)PCNB代謝能を保持する植物根圏微生物の選抜、(2)根こぶ病の生物防除活性を持つ微生物の探索を試みた。 (1)植物根圏土壌より分離した糸状菌、細菌、放線菌のうち約150株を対象に、PCNB代謝能についてスクリーニングを行った。その結果、約1割の株がPCNBをペンタクロロアニリンに変換する能力を持つことが明かとなった。選抜された微生物は、Pseudomonas spp.、E.coli.S.cerevisiae、Fusarium sp.などであった。このうち、M-2196株はニラ根圏より分離されたP.gladioliであり、Anium属植物根圏に定着性を示した。(2)Viola sp.葉面より分離されたPhoma glomerataが根こぶ病に対して防除効果を示すことを見いだした。このPglomerataは菌糸や培養上清を汚染土壌に施用することで根こぶ病防除効果を示し、生物防除資材として、また、新農薬創製用のリード化合物としての利用の可能性が示唆された。本菌培養上清中にエポキシドンが産生されていることが見いだされ、この物質が根こぶ病発病抑制の本体であることが示唆された。 (2)金属類の取り込み能の高い植物の選抜、および植物がより取り込む条件の解析を、汚染土壌のクリーニングクロップとしての植物利用を想定して開始した。トレーサーとして、複数の放射性金属を含むマルチトレーサーを利用し、これにより人工的に汚染した土壌に植物を植えて、植物種や土質による取り込みの差を検定した。この結果、植物種により、取り込み量が異なり、例えば個体当たりの137-Csの取り込みはナス科、ウリ科等の栽培植物で大きかった。また、土質によっても取り込み量が大きく異なり、例えば浅間山山麓より採集した未耕地土壌においてキュウリの137-Cs取り込みは通常の10倍以上であった。
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