研究概要 |
1 土壌中のPCNBの植物-微生物共生系を用いた浄化 (1)ニラー根圏細菌Pseudomonas gladioli M-2196、ハクサイ-糸状菌15-4共生系のモデル検証実験を行った。これらの共生系により土壌中のPCNBをそれぞれPCA、PCTAへ微生物単独よりも効率的に変換できることを示した。 (2)糸状菌15-4株をMortierella sp.と同定した。 (3)Escherichia coli由来のPCNB→PCA還元反応を司る酵素の精製・解析を進め、これがフラボタンパク質であることを推定した。また、本酵素がTeCNB→TeCA,TCNB→TCAの還元反応も司ることを明らかにした。 (4)フルレンジBEACON2000を用いた競合アッセイにより、PCNBの代謝物、PCP、PCTA、TeCA、TCAがエストロゲン様作用を持つこと(環境ホルモン活性が疑われる)、PCNB、TeCNB、TCNB、PCAがエストロゲン作用を持たないことを明らかにした。(この結果を踏まえて、PCNB→PCA、PCTAの変換に代えてPCP→無機化を以降の研究目的とした) (5)PCP代謝酵素PcpBエンコード遺伝子pcpBをSphingomonas chlorophenolicaからクローニングした。当該遺伝子を根圏細菌P.gladioli M-2196および根圏非病原性Fusarium sp.に導入し、それぞれニラ、トマト根圏に定着させてPCP汚染土壌に植えたところ、土壌中のPCPを効率よく分解した。 2 放射性金属の植物-微生物共生系を用いた浄化 (1)トマトに非病原性Fusarium spp.を共生させて土壌に植えることで、非共生トマトに比べて土壌中の放射性金属(Na,Co,Tc,Mn,Rb,Zn,Cs,Sr)の取り込みが増加することを示した。 (2)トマト-非病原性Fusarium spp.共生系を用いた土壌中の金属浄化モデル実験を行い、共生させる菌株により取り込み能に差が出ること、T3株が調査した中で最も有効であることを示した。
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