研究課題/領域番号 |
10307002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武藤 誠 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (70281714)
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研究分担者 |
佐々木 宣哉 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (20302614)
松井 稔 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (50282611)
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キーワード | APC / TGF-β / Smad4 / Dpc4 / β-cutenin / Cdx-2 |
研究概要 |
1.β-カテニン変異による腸腫瘍形成 我々は、変異型β-カテニンをマウスの腸に特異的に発現させた。その結果、約3000個にもおよぶ小腸ポリープが形成され、β-カテニン変異のみで腫瘍が形成されることを示した。 2.我々は、先にSmad4変異ノックアウトマウスを作出し、そのApc変異との複合変異が、アデノーマから浸潤性の強い印鑑細胞がんへ進展することを示したが、Smad4変異のみでは、ホモ体が胎生致死となる一方で、ヘテロ体では約1歳齢まで、特に異常を認めなかった。しかし、更に長期に渡って観察を続けた結果、1.5歳、2歳齢では、高頻度に胃および十二指腸ポリープ形成が見られた。その組織像はヒトの若年性ポリープ症と類似しており、多くの好酸球や形質細胞が見られ炎症性ポリープの相を呈していた。 3.Cdx2ノックアウトマウスに見られる大腸ハマルトーマ(過誤腫) 我々は、Cdx2ノックアウトマウスを作出し、腸腫瘍の形成過程について詳しく検討した結果、腫瘍はハマルトーマであることを明らかにした。即ち、胎生11.5日頃から、腸管粘膜の一部でCdx2発現のbiallelicな抑制が起こるとポケット形成を起こした粘膜が急速に発達し、腸管の一部が複製化する。しかし、胎生15-16日頃から、腸管上皮は急速な増殖を行うが、複製化した部分には、この活動が見られず、次第に取り残されて、生後は、周囲組織から隔離されてハマルトーマとなることを明らかにした。
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