研究課題/領域番号 |
10307007
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
真弓 忠 自治医科大学, 医学部, 教授 (00049016)
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研究分担者 |
高橋 雅春 自治医科大学, 医学部, 助手 (70326841)
西澤 勉 自治医科大学, 医学部, 助手 (30306112)
岡本 宏明 自治医科大学, 医学部, 助教授 (30177092)
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キーワード | TTウイルス(TTV) / 遺伝子型 / 電子顕微鏡像 / チンパンジー感染実験 / TTV抗体 |
研究概要 |
原因を特定できない肝炎(非A-G型肝炎)の起因ウイルスの候補として、1997年に発見したTTウイルス(TTV)の本態およびその特徴を分子生物学的手法により解明し、チンパンジー感染実験によってその感染性と病原性について検討するとともに、TTVの感染病態を解析することを研究目的とした。 免疫電顕法によりTTV粒子を観察し、TTVが外殻を持たない直径30-32nmの小型球形粒子であることを明らかにした。急性TTV(1型)感染患者に由来する血清、あるいは15%糞便浮遊液を実験的にチンパンジーの静脈内に接種し、ヒト糞便中のTTVが血清中のTTVと同様に感染性を有することを実証できた。ウイルス血症は接種後5週、ないし7週後に認められ、15週、ないし33週後に陰転した。TTV DNA titerの下降に伴って、IgMクラス、ついでIgGクラスのTTV抗体が検出された。また、TTVの排除に伴って軽度ながら肝機能値(ALT値)が一過性に上昇し、同時に肝細胞にもballooningを主体とする組織学的な変化が認められたことから、TTVは肝炎を惹起しうるウイルスであることが示唆された。 TTVはDNAウイルスでありながら、遺伝子DNAの多様性が顕著であり、数多くの遺伝子型が認められる。そのなかで主要な4種類の遺伝子型(1型-4型)に着目し、それらの型を個別に、あるいは纏めて検出しうるPCR法を用いて、TTVの感染病態について検討した。遺伝子型の違いによってTTVの組織親和性が異なり、臓器や組織ごとの棲み分けがあることが示唆された。また、1型TTVは、TTV感染患者での肝機能改善の遅延や肝組織所見の進展と関連があることが示唆された。
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