研究課題/領域番号 |
10307013
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
川上 義和 北海道大学, 医学部, 教授 (10001877)
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研究分担者 |
伊藤 昭英 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (30291230)
棟方 充 北海道大学, 医学部, 講師 (00209991)
山口 悦郎 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (10201831)
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キーワード | アトピー / インターロイキン4 / 高親和性IgEFC受容体 / 気管支喘息 / 遺伝子多型 / サルコイドーシス |
研究概要 |
1) IL-4プロモーター領域には、-524(C→T)変異が存在し、それがアトピーと関連しているとの報告がある.我々はさらに上流をシーケンスした結果、+33に新たに(C→T)変異を発見した.これは-524(C→T)と完全な連鎖不平衡にあり、非喫煙気管支喘息患者においてはT対立遺伝子が血清総IgEと有意に相関していた.したがって以前報告された-524(C→T)とア卜ピーとの関連は、本質的には我々が見出した+33との相関を反映している可能性がある.今後どちらの多型が実際にIL-4の転写活性の上昇をもたらすのかを検討する予定である. 2) FcεRIβ鎖遺伝子(FCER1B)についてはこれまで、エクソン6のI181Iとエクソン7のE237Gふたつの多型が、それぞれアトピーの形質と相関していることが報告されている.我々は24名の高IgEを呈する気管支喘息患者について、全7つのエクソンをシーケンスしこれらの多型を検索したが、1名にも見出せず少なくとも日本人ではこれらの多型の意義は少ないと考えられた.一方で-109(C/T)多型を新たに発見した.この多型頻度は226名の喘息患者と226名の対照者間で差を認めず、喘息の発症に関与している証拠は得られなかった.しかし喘息患者では、T対立遺伝子が有意に血清総IgE値と相関しており、新たなアトピー遺伝子のひとつであることが示唆された. 3) アトピー素因は、Th2へ分化したT細胞が増加することを特徴とする.近年ケモカイン受容体の発現プロフィールが、Th細胞とTh2細胞で異なることが明らかとなってきた.そこでケモカイン受容体のひとつであるCCR2の64番アミノ酸のイソロイシンへの変異(CCR2-64I)多型について、122名の対照者、Th1反応を代表する100名のサルコイドーシス患者、およびTh2反応を代表する149名の気管支喘息患者を対象に検討した.その結果CCR2-64Iは有意にサルコイドーシス発症の危険因子であることが明らかとなった(odds ratio=0.369、95%CI0.203-0.673).しかし気管支喘息の発症に及ぼす影響は認められなかった.
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