研究課題/領域番号 |
10307013
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
川上 義和 北海道大学, 医学部, 教授 (10001877)
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研究分担者 |
南須原 康行 北海道大学, 医学部・附属病院, 医員
伊藤 昭英 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (30291230)
山口 悦郎 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (10201831)
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キーワード | 気管支喘息 / CD14 / ムスカリニック受容体1 |
研究概要 |
本年度は染色体5q31.1-33と11q13に存在する二つの遺伝子多型と、アレルギー性肺疾患との相関を調査した。まず5q31.1-33に存在するCD14は、LPSとその結合蛋白複合体の受容体であり、主として単球系細胞で発現されている。また可溶性蛋白として血中でも検出される。近年その血中濃度が血清IgEと相関することが発見され、気管支喘息との関連が報告された。我々は139名の喘息患者、153名のサルコイドーシス患者、80名の肺結核患者、および133名の健常者を対象に、CD14遺伝子プロモーターの-158(C/T)多型を調査した。その結果、サルコイドーシス患者では遺伝子型CT+TTの頻度が有意に健常者に比して多かった(81% vs 61%, p<0.0093)。喘息群、肺結核群では有意差を認めなかった。 一方11q13には、ムスカリニック受容体1(MR1)遺伝子が存在する。MR1は気管支周囲の副交感神経節において、迷走神経の伝導を促進し気道収縮を増強させる。まずMR1の前エクソンの塩基配列を決定し、変異を検索した。その結果翻訳開始部位より267bpと1353bpの位置にそれぞれ(C→A)、(C→T)変異を認めた。両変異はアミノ酸配列の変化をもたらさず、完全な連鎖不平衡関係にあった。そこで以下の解析は1353多型についてのみ行った。アトピー型気管支喘息患者を発端者とする137人の家系構成員を対象に行ったTDT(transmission disequilibrium test)や同胞対法では、同多型と喘息との連鎖は確認できなかった。次に159名の喘息患者、および137名の健常者を対象にその遺伝子多型を調査すると、遺伝子型CCの頻度が喘息患者で有意に多かった(92.4% vs 84.7%, p<0.034)。しかしIgEとの関連は認められなかった。同多型はアトピーと独立した機序で、気管支喘息の発症に関与している可能性がある。今後気道過敏性との関連を調査する予定である。
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