研究課題/領域番号 |
10307017
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
豊岡 照彦 東京大学, 保健管理センター, 教授 (00146151)
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研究分担者 |
申 偉秀 東京大学, 保健センター, 助手 (10211971)
鈴木 順一 東京大学, 保健センター, 講師 (50260485)
上原 誉志夫 東京大学, 保健センター, 助教授 (40184965)
河田 登美枝 新潟大学, 病院, 薬剤部・助教授 (00186107)
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キーワード | 心筋症 / 遺伝子治療 / サルコグリカン / AAVベクター / 予後 |
研究概要 |
ジストロフィン関連糖蛋白複合体(DAGC)は細胞膜直下のジストロフィンと細胞外マトリクスのラミニン-α2を結合し、細胞膜を安定化する。当研究室では心筋症ハムスターでDAGCの中のδ-サルコグリカン(SG)遺伝子の欠損を証明した。昨年ヒトの心筋症家族でハムスターと同じδ-SG遺伝子の欠損による重症心不全症例が報告され、共通の病態が示された。更に筆者らは遺伝子治療の為に最初HVJリポソームベクターを用いて生体内の心筋細胞に数種の遺伝子を発現させたが、このベクターは生体に無害な反面、発現期間が短く、長期治療には適さず、新しいベクターの開発が必要となった。種々のベクターを模索した結果、安全性、発現効率、発現期間共に優れている事が報告されているrAAVに注目し、CMVプロモーターの下流にレポーター遺伝子(Lac Z)、又は正常配列のδ-SG遺伝子を含むrAAVベクターを作成した。5週令の雄性TO-2系ハムスターにLac Z単独、又はLac Zと正常配列のδ-SG遺伝子を左室心尖部筋層に投与した。10-30週後に心を分離し、Northern blotting,Western Blottingおよび病理学的、免疫組織学的検索に供した。また一部の動物は心臓カテーテル検査による血行動態、心エコー検査によりin vivoの収縮能を測定した。更に44匹の動物を2群に分け、TO-2の生存期間を越える40週後まで予後を追跡した。その結果、I.Northern blottingの結果TO-2にδ-SGのmRNAが認められ、Western Blottingでも正常動物と同じ分子量のδ-SG蛋白を認めた。II.rAAVによる遺伝子発現効率は投与部位で約40%と優れていた。またその発現は40週まで認められ、ほぼ生涯発現する事も示された。またこの時、予後も明らかに改善した。
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