研究概要 |
1) 吹田スタディー(荻原俊男、檜垣實男、勝谷友宏) 平成10年度中に、新たに2,500人分の採血を完了し、最終的には文書にてインフォームドコンセントを得られた5,014人分のDNA解析用採血が実施された。採血時には、対象の既往歴、服薬状況、家族歴(両親の既往疾患、死亡年齢まで把握)、嗜好、生活習慣の詳細な問診を行うと共に、一般生化学検査、心電図、頚動脈エコーを実施した。候補遺伝子解析の手始めとして、1998年のCirculation誌に発表された欧米白人において男性特異的に相関を認めたACE(angiotensin converting enzyme)遺伝子のinsertion/deletion(I/D)多型の意義を検討した。ACE/DD型の頻度は、欧米白人(26.2%)の半分の13.1%に過ぎないにも関わらず、男性特異的に高血圧に対する感受性を増強し、ACE/DDを有する男性の高血圧に対するオッズ比(vs.II)は1.75に達した。ACE/DDは人種を越えた男性の高血圧リスクとなることを示す貴重な知見と考える。 2) 大迫スタディー(荻原俊男、三木哲郎、勝谷友宏) 地域住民検診、出稼ぎ検診、MRI検診の機会に、吹田スタディーと同様のプロトコールにて、採血、間診、診察を行い、平成10年度中に2,000人のDNA採血を実施した。一部の対象者に対しては、さらに頭部MRl.75g糖負荷試験、頚部エコーも行った他、運動能に関与する因子を検討する為のサブスタディーも実施した。現在、これらデータの解析と候補遺伝子多型の解析が進行中である。
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