研究概要 |
本研究では、『循環器疾患(高血圧、虚血性心疾患、脳卒中)の原因遺伝子の同定』を目的とし、候補遺伝子アプローチにより原因遺伝子の同定を目指している。老年者高血圧における候補遺伝子多型の意義の検討では、高血圧との有意な相関は、若年者におけるangiotensinogen遺伝子のT235アリル、及び若年男性におけるangiotensin II-2型受容体遺伝子のA3123アリルのみで認められた。アポリポ蛋白プロモーター、αアデュシン遺伝子多型でも同様の傾向が認められたが、ACE、MTHFR、angiotensin II-1型受容体(AT1)の遺伝子多型、アポリポ蛋白Eのε2,3,4多型では、高血圧に対するオッズ比に若年者・老年者間で違いが認められず、加齢による疾患感受性の変化は遺伝子多型により黙ることが示唆された。都市部地域住民集団で実施中のコホート研究では、最終的に5,014人分のACE遺伝子多型が決定され、米国白人同様、日本人でもDD型が高血圧リスクとなることが示された(Circulation,2000,in press)。一方、岩手県で実施中の農村部地域住民の大規模コホート研究では、東北大学倫理委員会の承認を得て、24時間血圧変動と関連する遺伝因子、高血圧に起因する合併症と関連する遺伝因子を検討中で、ラクナ梗塞や大脳MRIで示されたPVH(periventricular hyperintensity)とangiotensinogen,AT1遺伝子多型の関連を示唆する結果を得ており、現在論文投稿中である。
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