研究概要 |
TNF受容体ファミリーに属するOX40とそのリガンドであるgp34の細胞内シグナル伝達および生物活性について検討した。これまでにOX40/gp34系は活性化T細胞と血管内皮細胞の接着を媒介することを報告したが(J.Exp.Med.183:2185,1996)、本研究により、血管内皮細胞との共培養によってT細胞の抗CD3抗体存在下の増殖が促進され、これが抗OX40抗体または抗gp34抗体によって強く抑制されることが明らかとなった。このcostimulationに関係しうる他の分子との比較においても、OX40/gp34系がCD2/LFA3系と同等かまたはそれ以上に重要な働きをしていることが示された。また、gp34を発現した血管内皮細胞側にも、OX40との結合によってc-junの発現が誘導されることを観察した。したがって、OX40/gp34系は双方向性システムであり、血管内皮細胞にも何らかの生物学的影響が生じていることが予想された。一方、OX40の細胞内シグナル伝達に関して、gp34との結合後TRAF2、TRAF5を介してNF-κBの活性化に至る経路を明らかにしたが(J.Biol.Chem.273:5808,1998)、そのときTRAF3がOX40の細胞内ドメインに結合してむしろ抑制的に働くことを報告した。現在、TRAF3の種々の欠損変異分子を作成してそのシグナル抑制の分子機構を中心に解析を進めている。
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