研究課題/領域番号 |
10307025
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
馬場 一憲 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30181035)
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研究分担者 |
海野 信也 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (90193979)
鎮西 恒雄 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (20197643)
上妻 志郎 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (10272569)
丸茂 元三 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60282646)
菊池 昭彦 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10280942)
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キーワード | 人工子宮 / 体外循環 / 胎児脳損傷 / 臍帯血流 |
研究概要 |
臍帯血流障害が胎児の脳に障害を与えるということが示唆されているが、そのうちの脳室周囲白室軟化症(PVL)は、脳性麻痺の大きな原因として、その発症メカニズムの解明とその予防法の開発が周産期医療の重要な課題の1つになっている。そこで、妊娠112日〜127日の羊胎仔22頭を臍帯圧迫部とコントロール部に分け実験を行い、その後の脳の組織学的検討を行った。臍帯圧迫は、頚動脈圧、心拍数、血液ガス、血中過酸化脂質測定を行いながら、3分持続の完全圧迫を5分間の間隔をおいて5回くり返した。脳の組織学的検討には、hematoxy-eosin染色、Kluver-Berrera染色、それと抗gilial fibrillary acidic protein 抗体、抗β-amyloid precursor protein抗体などによる免疫染色法を用いた。臍帯に反復圧迫を加えた胎仔脳には多彩な組織学的所見を認めたが、臍帯圧迫郡14例中7例の脳室周囲白室に凝固壊死を認めた。これらの郡では、臍帯圧迫開始前に血圧と血中過酸化脂質の高価が認められており、圧迫開始前に何らかの負荷が加わっていたことが示唆された。また、それとは別に、大脳皮質の病変を主体とする郡もあったが、これらの郡では、圧迫中に低血圧を認めており、脳室周囲白室の病変を主体とする郡とは異なる反応を示していた。羊胎仔において、臍帯圧迫をくり返すことにより脳室周囲白質に虚血性病変を生じさせることができるが、その発生には臍帯圧迫開始前の胎児の状態が重要な意味を持つことが示唆された。また、脳の種々の免疫染色により、脳障害発生には、虚血により誘導されたサイトカインやフリーラジカルに対するグリア反応が関係している可能性も示唆された。
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