研究課題/領域番号 |
10307026
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中尾 一和 京都大学, 医学研究科, 教授 (00172263)
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研究分担者 |
小川 佳宏 京都大学, 医学研究科, 助手 (70291424)
向山 政志 京都大学, 生産開発科学研究所, 研究員 (40270558)
伊藤 裕 京都大学, 医学研究科, 助手 (40252457)
斎藤 能彦 京都大学, 医学研究科, 助手 (30250260)
田中 一成 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80179738)
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キーワード | BNP / ANP / CNP / GC-A / GC-B / トランスジェニック |
研究概要 |
心筋肥大の分子機構を解明する目的で、心筋細胞と非心筋細胞の相互関係を検討した結果、非心筋細胞との共培養により心筋細胞の肥大がおこることが明らかになった。心筋細胞肥大をおこし、インターロイキン6ファミリーに属することが知られているカルディオトロフィン1(CT-1)は、共培養下の非心筋細胞において遺伝子発現が心筋細胞の3.5倍に増強しており、CT-1特異的抗体は、心筋細胞肥大の指標であるANPおよびBNPの蛋白合成と分泌を抑制した。更に非心筋細胞の培養上清は心筋細胞のSTAT3のタイロシンのリン酸化とANPおよびBNPの蛋白合成と分泌を促進したが、この効果はエンドセリン1の効果とは独立しており、CT-1が含まれる心筋肥大の局所調節機構が存在することが明らかとなった。 BNPトランスジェニックマウスでは内軟骨性骨化部位の長軸方向への伸長が観察され、その結果、体幹、四肢が著明に伸長し、背部の変形と、尾の弯曲を生じた。体長の伸びはBNPの血中濃度に比例し、組織学的には成長板軟骨層では非肥大化軟骨層および肥大化軟骨層の著明な細胞増殖と分化を認めた。また、破骨細胞の増加を伴う骨吸収の増大も認められ、骨芽細胞ー破骨細胞系の代謝回転の増加が存在することが明らかにされた。更にナトリウム利尿ペプチドはGC-Bを介して骨組織に作用していることが、マウス胎児の脛骨の器官培養の結果明らかとなり、骨組織ではCNPは産土されるが、ANP、BNPはほとんど存在しないことも示された。従って、生理的にはCNP/GC-B系が内軟骨性骨化に重要であり、骨・軟骨ーナトリウム利尿ペプチド系の中心的役割を担うことが解明された。
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