研究課題/領域番号 |
10307027
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 一知 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (90168435)
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研究分担者 |
岩田 博夫 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (30160120)
宮崎 純一 大阪大学, 医学部, 教授 (10200156)
今村 正之 京都大学, 医学研究科, 教授 (00108995)
山田 雅保 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10243073)
宮本 正章 京都大学, 再生医科学研究所, 助教授 (50229895)
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キーワード | 異腫移植 / 免疫隔離 / ブタ膵内分泌細胞 / 血管新生誘導 |
研究概要 |
膵島移植の適用において、大きな問題となるのが絶対的ドナー不足である。この障害を解決する有効な方法の一つに免疫隔離能を有するバイオ人工膵を用いた異種移植の応用が挙げられる。我々もこのような異種膵島細胞移植システムを確立するために、1.バイオリアクターの確保、2.免疫隔離能を有するバイオ人工膵の作製、3.バイオ人工膵の生着性が向上する移植環境の創出などの面を中心に検討を進めてきた。 1,バイオリアクターの確保:ブタ膵からの膵内分泌細胞の分離方法を確立し、この細胞を浮遊性に培養維持する方法も確立した。また、これらの分離・培養細胞をストレプトゾトシンで誘導した糖尿病モデルマウスに対して移植した場合でも(異種移植)、移植細胞の生着性や機能性に関して良好な結果が得られた。現在、より大量かつ高機能の膵内分泌細胞の分離・培養条件の設定を検討している。 2,免疫隔離能を有するバイオ人工膵の作製:新たに抗補体作用を有するアガロース-PSSaなど高分子材料を用いて、三層コーティングしたバイオ人工膵を作製し、正常ラットから分離した膵島をその中に封入して、糖尿病モデルマウスの血管新生誘導処置後皮下に移植した。移植約1週間後にはマウスの血糖値が正常化し、その後、血糖値は3ヶ月以上正常状態を維持した。さらに、組織学的な検討においても移植した膵島が良好な形態を保ち、移植細胞の生着性や機能性が確認された。 3,バイオ人工膵の生着性が向上する移植環境の創出:元来血管の少ない皮下部位において、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)の徐放化デバイスを用いて血管新生誘導を行った。血管新生の誘導は、組織学的、及び、免疫組織化学的検討で確認した。さらに、血管新生誘導処置を施した後に膵島細胞を移植した検討で、移植細胞の生着性や機能性の向上も認められた。
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