研究課題
基盤研究(A)
まず、FasL遺伝子導入を検討した。アデノウィルスのE1領域にCAGプロモーターとその下流にFasLcDNAさらに下流にはポリAを挿入、かつCAGとFasLの間に両端にloxP配列を持つスタッファーを置いた(AxloxP FasL)。loxP配列を特異的に切断するCre酵素を発現するベクターAxCreを共感染させることでスタッファーが除去され、FasLが転写される。マウス肝ではAxCreの投与量依存的なFasL発現が見られた。ラットでAxloxPFasLとadCreの投与を行い、その肝を同種移植した。生存日数は著明に延長したが、永久生着は得られなかった。次いで、ドナー肝にCrmA遺伝子を導入し、拒絶反応に対する防御効果を検討した。CrmAを発現させるベクターとして、Cre酵素により制御を受けるカセットを有したアデノウイルスAxCALNLCrmAを用いた。AxCALNLCrmAとAxCreをそれぞれ10^9pfuで静脈内投与すると、肝で80%の肝細胞がCrmA蛋白を発現する。その肝を同種移植したところ、拒絶反応に対する予防効果が得られた。CTLA4の細胞膜外ドメインとIgGのFc領域を人工的に結合させたCTLA4IgcDNAを作成した。これをアデノウイルスに挿入したベクターAxCTLA4Igを作成した。ラット心移植において、移植日にadCTLA4Igを10^9pfu静脈内投与したところ、生着日数が著明に延長し、CTLA4Ig遺伝子導入の有効性が明らかにされた。さらに、新規免疫抑制剤FTY720との併用を行なった。FTY720(5mg/kg)を移植前日に経口投与し、移植日には同量のFTY720と10^9pfuのAxCTLA4Igを静注した。併用することにより相乗的な免疫抑制効果が得られ、3分の1で免疫寛容を誘導することができた。
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