研究課題/領域番号 |
10307035
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
下地 恒毅 新潟大学, 医学部, 教授 (30040158)
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研究分担者 |
せん 仁知 新潟大学, 医学部, 助手 (20303125)
多賀 紀一郎 新潟大学, 医学部, 助教授 (00163329)
熊西 敏郎 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40018601)
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キーワード | 脳虚血耐性 / 虚血前処置 / 微小脳損傷 / NMDA レセプター / チトクローム c / ミトコンドリア / アポトーシス / C57Black / Crj6マウス / Bcl-XL / 静脈麻酔剤 |
研究概要 |
本年度はここ2年間の研究に加え、以下の研究を行った。 1.種種脳虚血前処置モデルを用いる脳虚血耐性の確認 これまでの脳虚血耐性の研究ではラット及び砂ネズミモデルが多用された。遺伝子レベルで脳虚血耐性のメカニズムを解明するためには、マウス脳虚血耐性モデルの作成が必要である。マウスにおいては系統間虚血感受性の違いや同じ系統内に脳血管解剖の変異などが原因で理想な前脳虚血モデルの作成が急務である。そこで、C57Black/Crj6マウスにおいて両側総頚動脈18分間閉塞モデルを作製し、7日目に線状体の神経細胞が80%以上脱落したのを見出した。さらに、このモデルでは前もって6分間の虚血を負荷しておくと、線状体におこる神経細胞死が強く軽減されることが解った。 2.虚血耐性獲得に対するBcl-2family蛋白質の発現及びミトコンドリアの役割 ラット前脳虚血モデルを用いてミトコンドリアから細胞質へのチトクロームc放出がカスパーゼ依存性及びカスパーゼ非依存性の経路を介して海馬CA1ニューロン遅延性死に関わるということを、さらに、二種類の脳虚血耐性モデル(短時間虚血と微小脳損傷耐性モデル)において前処置がミトコンドリアから細胞質へのチトクロームc放出を抑えることも明らかにした。また、脳虚血によるミトコンドリアから細胞質へのチトクロームc放出に対する虚血前処置の抑制効果が前処置後に起こるBcl-XL発現と関連することも示した。 3.静脈麻酔剤の脳虚血保護効果およびその局限性 静脈麻酔剤は従来から脳虚血に保護効果があるといわれている。しかし、その機序およびその投与の時期については不明な点が多い。われわれは、スライス虚血モデルにおいて静脈麻酔剤の脳虚血保護作用とNMDA受容体に対する静脈麻酔剤の抑制効果を比較検討した。以上の検索によって静脈麻酔剤の脳虚血保護効果が薬物によって異なり、NMDA受容体に対する抑制効果と関連することを示した。なお、特異的NMDAレセプター抑制剤と同じように、静脈麻酔剤の脳虚血保護は虚血開始後の数分内だけに有効ということも明らかになった。 以上の結果より急性期障害を最大限に抑える上で、内因性抗虚血機構の誘導や遅発性神経細胞障害過程の遮断などによる脳虚血治療方法の確立が期待できる。
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